【新大久保語学院レターNo.15】韓国の伝統茶
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日本でもお馴染みとなった유자차(柚子茶)や옥수수차(とうもろこし茶)を始め、韓国には「전통차(伝統茶)」と呼ばれる様々なお茶が存在します。どんなお茶があって、どこで飲めるのでしょうか?今回のコラムでは、奥深い韓国の伝統茶についてご紹介します。
日本ではお茶といえば緑茶などの茶葉を使ったお茶を連想しますが、韓国では茶葉を使わないお茶も차(茶)と呼びます。茶葉を使ったお茶は仏教とともに中国から朝鮮半島に伝わり、仏教を国教とした高麗時代にお茶文化は最盛期を迎えたと言われていますが、朝鮮時代に入り国内で仏教が衰退すると、お茶文化も衰退していったと言います。 そもそも昔の韓国(朝鮮半島)では、お茶は庶民の飲み物というよりは寺院や宮廷など上流階級の人々の飲み物。歴史ドラマでもよく宮廷の人たちがお茶を飲んでいるシーンを見かけますよね。一方庶民は、山に自生する植物や果実などを利用してお茶を作っていたんです。それが現代までも韓国に伝わる伝統茶のルーツになっています。
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<どんな伝統茶があるの?>
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생강차(生姜茶)
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風邪を引いた時に飲むお茶と言ったらこれ!薄切りにした生姜を煮た汁に、お好みで砂糖や蜂蜜を溶かして飲みます。体が温まりますよ〜。冬にオススメのお茶です。
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유자차(柚子茶)
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こちらも冬にピッタリ!日本で一番有名な韓国のお茶かも知れませんね。柚子の皮と汁を砂糖に漬けたもので、ジャムのような形状になったものをお湯で溶かして飲みます。実はトーストに塗って食べても美味しいんですよ。
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모과차(カリン茶)
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柚子茶と同じように、カリンの実を砂糖に漬けて作ります。あっさりとした味わいで飲みやすいお茶です。カリンには咳止め効果があると言われているので、カリン茶も風邪の時に飲みたいお茶の一つです。
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오미자차(五味子茶)
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五味子茶は甘い、酸っぱい、苦い、辛い、しょっぱい、の5つの味が含まれたお茶ということで、この名がついています。朝鮮五味子と呼ばれる植物の実を乾燥させて作られます。
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옥수수차(とうもろこし茶、コーン茶)
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日本でコーン茶と呼ばれて、よく見かけるようになったとうもろこし茶。とうもろこしの粒を炒って煮出したもので、香ばしい味が特徴です。옥수수수염차と言って、とうもろこしのひげを使ったお茶もあります。수염は韓国語で「ひげ」という意味です。
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대추차(ナツメ茶)
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参鶏湯などにも入っているナツメ。ナツメ茶は干したナツメを煮出して作るお茶ですが、生姜などと一緒に煮込むので、体が温まり冷え性改善にも効果があると言われています。
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매실차(梅茶)
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日本でも梅の実を漬けて梅酒などを作りますが、韓国も同じように梅の実を砂糖に漬け、梅シロップを作ります。梅茶はさっぱりしていて疲労回復もあると言われています。
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인삼차(高麗人参茶)
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言わずと知れた健康飲料。滋養強壮、疲労回復、血行促進など様々な健康効果があると言われています。韓国ではお土産屋さんで見かけることも多く、高麗人参パウダーを使えば、お湯に溶かすだけで気軽に高麗人参茶が楽しめます。
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국화차(菊花茶)
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菊の花のお茶。香りが良く、すっきりした味わいです。スーパーなどでティーバックも売っているので気軽に飲むことができます。菊の香りが苦手な方は、蜂蜜を入れたり緑茶など他のお茶とブレンドして飲むのもオススメです。
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둥굴레차(トゥングルレ茶)
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トゥングルレとは「アマドコロ」という植物のことで、トゥングルレ茶はその根を乾燥させて作るお茶です。血圧を下げる効果や虚弱体質の改善など、様々な健康効果があることで知られています。こちらもティーバックでも売っている韓国ではポピュラーなお茶です。
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결명자차(決明子茶)
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決明子とは「エビスグサ」という植物の種子の生薬名。その種子を煎じたのが決明子茶です。韓国ではコンビニなどでペットボトル入りのものが売られていたりします。目の健康に良いとされ、眼精疲労や目の充血などが気になる方にオススメのお茶です。
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쑥차(ヨモギ茶)
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ヨモギは食用としてはもちろん、韓国旅行で女性に人気の「ヨモギ蒸し」などにも使われる、韓国では大活躍の植物です。葉っぱを煮出してお茶としても利用されます。ヨモギには体を温める効果があるので、特に女性にオススメです。
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<日本でもお馴染みのお茶も!>
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녹차(緑茶) 韓国の緑茶は日本のものに比べるとやや薄め。전라남도(全羅南道)の보성(宝城)がお茶どころとして有名です。
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보리차(麦茶) こちらも日本でお馴染みのお茶。味も日本の麦茶とほとんど変わりません。ペットボトル入りのものが売られていて、手軽に飲めるお茶の一つです。
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현미차(玄米茶) 玄米茶も緑茶と同様に、日本のものと比べると少し薄めに飲むのが韓国流。日本の玄米茶と同じく、香ばしい味が特徴です。
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율무차(ハトムギ茶) ハトムギ茶にはデトックス効果や美肌効果があると言われています。こちらのコラムでも紹介したコーヒー自販機の中には、たまにコーヒーと一緒にハトムギ茶を売っているものもあるんですよ。 |
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<「◯◯茶」とは言わないけれど…> お茶のように食事の後に飲んだり、韓国ではポピュラーな飲み物もいくつかご紹介します。
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수정과(スジョングァ)
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スジョングァは계피(シナモン)と生姜、砂糖を煮出してから、冷たくして飲む飲み物です。ナツメや干し柿などを浮かべて飲むことが多く、果実とシナモン、生姜の組み合わせがクセになる味です。
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식혜(シッケ)
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日本の甘酒のような飲み物で、お米から作ります。日本の甘酒はホットとアイスの両方ありますが、シッケは冷たくして飲むのが一般的です。찜질방(チムジルバン、サウナ)に行くと必ずあります。サウナで火照った体で飲むと最高!ぜひお試しください。
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쌍화탕(サンファタン) 漢方の飲み物で、とっても苦い!のですが、風邪にとてもよく効くので、薬局で風邪薬を買うとサンファタンも一緒にオススメされたり、サービスで一本もらえたりする場合もあります。コンビニでも買えるので、韓国滞在中に体調を崩した際にはぜひチャレンジしてみてください。
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숭늉(スンニュン) スンニュンは、釜でお米を炊いた時にできるおこげにお湯を注いで飲むもので、昔の庶民の家庭ではとてもよく飲まれていたそうです。炊飯器が普及した今はお米を炊いてもおこげができませんが、炊飯器の中には「おこげモード」がついていてスンニュンを作れるものもあるんだとか。한정식(韓定食)屋さんなど、ご飯が釜で出てくるお店では食後にスンニュンも提供してくれますよ。
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<いつお茶を飲むの?> 日本と同じように食後のデザートとしてお茶を飲むことが多いですが、上にも書いたように風邪に効くお茶などは風邪をひいた時に、シッケはサウナでも、そして仕事や勉強の合間にリフレッシュとしてお茶を飲むこともあります。カフェのコラムでもご紹介したように、韓国人はコーヒーが大好きなので、食後はお茶ではなくコーヒー!という人も多いです。また「차 한잔할래요? (お茶一杯飲みますか?)」と言った場合は、今回紹介したお茶だけでなく、コーヒーも選択肢に含まれます(日本と同じですね)。 |
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<どこで飲めるの?>
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ティーバックで売っているものはスーパーやコンビニで購入して家や滞在先のホテルなどでも楽しめますが、本格的に伝統茶を楽しみたい方にオススメなのが인사동(仁寺洞)。仁寺洞にはたくさんの전통찻집(伝統茶屋)があり、한옥(韓屋、韓国伝統家屋)を使ったお店などもあるので、昔ながらの雰囲気で伝統茶を楽しむことができます。
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<お茶のお供は?>
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近年、韓国の若者の間でブームになっている약과(薬果)。薬果は한과(韓果)と言われる韓国の伝統菓子の一つで、小麦粉に蜂蜜やごま油を混ぜて揚げたお菓子です。伝統茶屋に行くと、お茶受けとして薬果をはじめとした韓果を食べることもできます。韓果には蜂蜜や水飴がよく使われ、ほのかな優しい甘さが特徴です。日本でも食べる落雁のようなお菓子もありますよ。見た目もきれいで美味しい韓果、伝統茶と一緒にぜひ食べてみてください。
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